演者:Dr. Todd Woodward and Dr. Mahesh Menon (逐次通訳有り)

 妄想には特徴的な認知バイアスが関与していることが、20年以上にわたる様々な研究によって明らかにされてきました。サイコーシスのためのメタ認知トレーニング(MCT)は、当事者への心理教育ツールとして開発されましたが、当事者とその家族からのフィードバックに基づいて発展し、構造的臨床介入技法とよんでも差し支えないものになりました。現在のMCTは、特にサイコーシスの妄想に対する、認知行動療法(CBT)に基づく新しい精神療法といえるでしょう。
 今回の講演で私たちは、MCTのターゲットとなっている認知バイアスに関する研究を体系的にレビューし、MCTのセッションでこれらのバイアスにどのように取り組むかについて説明したいと思います。
講演は二部に分かれます。第一部は、帰属バイアス、確率推論バイアス、心の理論、についてです。それらバイアスに関する研究と、MCTの実践にどのようにつなげるか、について説明します。
 第二部は、記憶、メタ記憶、記憶への過信、(自分の信念を支えてくれない)証拠に対するバイアス、低い自尊心の影響、に焦点をあてます。また、MCTのモジュールとMCT+に関する最新の情報についても聴衆の皆さんと共有したいと思います。

講演① MCTに関する研究:この先に何が待っているのか? Dr. Todd Woodward (逐次通訳有り)

 MCTとMCT+に関するいくつかのランダム化対照試験が行われ、認知バイアス、妄想、陽性症状、生活の質(QOL)の改善に有効であることがわかりました。この効果は、介入の3年後まで維持されます。本講演では、臨床および認知・ニューロイメージングのデータに基づく研究成果について報告します。



講演② MCTを効果的に実践する Dr. Mahesh Menon (逐次通訳有り)

 MCTはCBTを基礎とした集団(「MCT+」は個人)への介入法です。本講演では、妄想に焦点をあてたサイコーシスのCBTモデルについて検討し、MCTにおいてCBT理論が認知バイアスの修正にどのように利用されているかについて解説します。また、MCTの実践上の落とし穴や、難しい問題をどのように扱うかについても解説します。



ブリティッシュ・コロンビア大学 准教授

ヴィクトリア大学にて学位を取得後、ブリティッシュ・コロンビア大学で研究を発展させました。現在は同大学精神科准教授の地位にあります。妄想と幻覚に関する研究で顕著な業績を上げており、現在はニューロイメージング技法を用いた研究を推進しています。また、ウッドワード博士はメタ認知トレーニングの共同開発者の一人です。

ブリティッシュ・コロンビア大学 臨床助教

ケンブリッジ大学にて学位を取得後、トロントのAddiction & Mental Health Centreにて研修を受けました。妄想の認知的、神経科学的プロセスに焦点をあてた研究を行っており、臨床的には重度の精神障害を対象としたCBTpを実践しています。現在は、ブリティッシュ・コロンビア大学の臨床助教であるとともに、大学病院の臨床心理職として活躍しています。

2人は12年以上にもわたり共同研究を続けており、そのなかにはMCTも含まれるています。彼らは、日本を訪れること、そして第1回のMCT研修会に参加できることを心から楽しみにしています。









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全国研修会ポスター